騒がしいのは苦手です。
長い間外界と離れていたせいもあって、今私は速すぎる環境の変化に四苦八苦しています。アメリカさんは大丈夫だとおっしゃいましたがどうにも心配が抜けきりません。


今日はドイツさんとイタリアさんが家にいらっしゃいました。三人でこたつに入って、イタリアさんの作ったパスタを囲んでいます。
「ほらー、やっぱりパスタは美味しいだろ?」
「うまくないとは言ってないだろ。毎日食べてたら飽きると言ったんだ。……しかし日本は毎日白米を食べるのだったな。」
「そうですよ。白米が主食ですからね」
ドイツさんはそう良いながら彼が作るパスタを残すことがありません。
「ねぇねぇ日本はどう?」
「美味しいですよ、とても。」
どうやったらこれと同じものが作れるでしょう?もし私が作れたら国民のみなさんにも食べてもらえるのに。
「しかし、わざわざ日本の家まできてパスタを作らなくともいいだろう。日本の料理だってうまいと思うぞ。」
「そんなこともありませんよ。」
「日本の料理は美味しいよ?だけどさ、せっかくだからいろんなもの食べた方が楽しいし、それに」
イタリアさんはそこで言葉を切りました。
「それに、何だ」

「ここは日本の家だけど、俺、手伝いたいなーって思って。ほら、いっつも俺たちに気を遣ってくれるから。俺たち友だちだからさー。」

友達。
長らく一人だった私には遠かった存在。ずっとあこがれていました。それを彼はさらりと言ってくれた。まるで何でもないことのように。あぁ、なんて嬉しいことでしょう。心配する必要なんて無かったのです。すぐ近くに仲間がいたのですから。イタリアさんもドイツさんも。アメリカさんだって。みんな私によくしてくれてるのですから。

「お前だけ良いこと言いやがって、俺がまるで何もしないみたいじゃないか!!」
「えー、でもドイツはなんにもし「いつもお前の面倒を見ているだろう!!」
「そんなことないよー」
「砂漠の真ん中でパスタを茹で始めるやつが何をいう!!」
「ドイツもお手伝いしたら良いんだよー。」
「今更何を手伝うと言うんだ……」


今は一人の頃よりもずっと騒がしいです。だけど、
「友達、ですか。」
嬉しいものです。なんだかあったかい気分になれます。
「日本、何か言ったか?」
「いえ、何でもないですよ」
「そうか。……オイ、イタリア!!ここはお前の家では無いんだぞ!!何やってるんだ!!」
騒がしいのも悪くない、そう思って私は静かに目を閉じました。





090305日独伊。中身の薄さが気になる今日この頃。